授業テーマ Course Theme
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近世怪異譚の研究 ――日本の幽霊・妖怪の歴史的変遷を踏まえて――
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授業概要 Course Outline
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近世を通じて流行を見たのが、咄の会である。これは人々が集い笑話や怪談を夜通し語り合う慰みで、前者は噺本(はなしぼん)という小説や落語へ、後者は怪異小説へと結実した。特に怪異小説は近世を通じて多くの作が出て人々に享受され、演劇や絵画など他の芸術ジャンルに大きな影響を与えた。近世はまさに、怪異流行の時代と言って良い。 本年度は、鈴木正三作の仮名草子で、寛文年間(1661~1672)刊行、浅井了意の編集とされる仏教説話系の怪談・奇談集『因果物語』(平仮名本)巻1・2を読む。個々の短編に語注を加えつつ精読。加えて、蛇・狐・狸・猫又等の動物の怪異の他、轆轤(ろくろ)首・天狗・大入道等の妖怪、幽霊、仙郷、離魂病、夢中の契りといった怪異の各素材や話型に注目し、類話を時代を超えて集めて検討。近世怪異譚の類型と個別性を探ると共に、怪異を通じて語られるものは何かを考察したい。 前期の〈日本の幽霊・妖怪〉についての概説を踏まえ、初回は講義形式で、例話を読みつつ類話の探し方等につきガイダンスを行う。その後、テキストを冒頭章から順に精読し、類話研究(学生による発表形式)。一人一話ずつ担当。
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学生が授業内で PCを使用する科目
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実務経験のある 教員による科目
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実務経験との関連 (経験ありの場合のみ)
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英語で授業を行う科目 Whether this class will be conducted all in English (yes/no)
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課題解決型学習を取り入れている科目 Problem-solving learning method is used in class (yes/no)
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討議(ディスカッション、ディベート)を取り入れている科目 There are discussions/debates in class (yes/no)
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グループワークを取り入れている科目 There are group works in class (yes/no)
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発表(プレゼンテーション)を取り入れている科目 There are presentations in class (yes/no)
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フィールドワーク、実習、実験、実技を取り入れている科目 There are fieldworks/training/experiments/ practices in class (yes/no)
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到達目標 Aim/goal
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古典の本文を、自力できちんと語注を施しつつ読解する力を身に付けることが第一の目標。加えて、話型学の研究手法を習得すること、及び民俗学・歴史学・神話学・文化人類学といった国文学の隣接学問における怪異研究の知見に触れ、学際的な視点を培うことを目指す。
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授業計画 Course Plan
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第1回
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導入―発表の仕方と調べ方―(講義)
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第2回
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『因果物語』巻1の1「執心ふかき女の虵に成たる事」(以後、学生の発表)
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第3回
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『因果物語』巻1の2「悋気深き女死して墳の焼たる事」、同巻1の3「伊勢太神宮御利生の事」
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第4回
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『因果物語』巻1の4「抜参宮を折檻して罰あたりし事」、同巻1の5「恋ゆへ虵身に成て夫をとりし事」
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第5回
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『因果物語』巻1の6「馬をころっして馬につかれし事」、同巻1の7「法師の馬に成たる事」
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第6回
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『因果物語』巻1の8「妾を妬て夫に怨をなしける女房の事」、同巻1の9「座禅の功力ふかき事」
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第7回
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『因果物語』巻1の10「庭鳥殺さるゝを知て寺へ逃行たる事」、同巻1の11「赤子の過去生を物がたりせし事」
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第8回
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『因果物語』巻1の12「母の卒塔婆わが子に乳をのませし事」、同巻1の13「雉の怨念人につきたる事」
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第9回
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『因果物語』巻1の14「親雲雀わが子に代て鷹にとられし事」、同巻1の15「亡者をあしく弔たる僧の事」
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第10回
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『因果物語』巻1の16「夫の亡霊妻の病を療治せし事」、同巻1の17「母のゆう霊来りて子を生立し事」
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第11回
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『因果物語』巻2の1「妬て殺せし女主の女房をとり殺す事」、同巻2の2「人に金かしたる僧死して呵責せられし事」
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第12回
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『因果物語』巻2の3「金に執心をのこして虵に成たる事」、同巻2の4「寺座敷を在家にして代々死たる事」
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第13回
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『因果物語』巻2の5「旦那の尸を争たる長老狂気したる事」、同巻2の6「女の亡霊長老と問答せし事」
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授業以外の学修 What Students are expected to do outside of the class
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発表担当者は担当話に精細に語注を付け通釈した上で、話型の似る話(類話)をできるだけ多く集め、各自の視点から考察を加え、発表用レジュメを作成。必ず発表予定の前日までに、作成したレジュメを1セット佐伯へ提出すること。 発表者以外の履修者は、当該話を授業前に読んでから授業に出席。 授業後に全員毎回、リアクション・ペーパーを「学びの泉」で提出。
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評価方法 Evaluation
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一人一回ずつの口頭発表と平常点を合わせて行う。各話の長さの違いや発表者の作成資料の精粗により、発表がずれることがある。授業週内で、口頭発表の順番が回って来なかった場合は、補講を行い、全員の発表を回す予定。
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課題(試験やレポート等)に対する フィードバックの方法 Feedback methods on assignments
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学生の発表毎に、教員より講評や文献の補足等を行う。リアクション・ペーパーに対して、適宜コメントする。
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履修前提要件 Prerequisites
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前記の「日本古典文学演習4b」を履修済みであることが望ましい。
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関連する ディプロマポリシー
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使用テキスト Textbook to be used, if any
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必ず読まなければならない本や文献(購入する必要はないが、図書館等で参照を要するテキスト)Required books or materials (No purchase necessary, but students need to refer to them at places like libraries.)
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番号
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著者 Author
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書名 Title
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出版社 Publisher
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ISBN
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定価 Price
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備考 Remarks
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1.
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太刀川清
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『近世怪異小説研究』
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笠間書院
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ASIN: B000J8BMQO
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2.
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高田衛・有働裕・佐伯孝弘編
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『西鶴と浮世草子研究Vol.2〈特集・怪異〉』
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笠間書院
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ISBN-10: 4305602024
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2,625
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3.
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小松和彦監修
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『日本怪異妖怪大事典』
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東京堂出版
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ISBN978-4-490-10837-8
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18,000+税
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4.
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稲田浩二篇
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『〈日本昔話通観・研究篇2〉日本昔話と古典』
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同朋社
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978-4810424904
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読むことを推奨する本や文献(購入する必要はないが、図書館等で参照を要するテキスト)Recommended books or materials, if any. (No purchase nesessary, but students need to refer to them at places like libraries.)
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テキストに 関する 連絡事項 Remarks concerning the text book, if any
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テキストと参考文献リストを、授業時にプリントで配布。
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更新日付
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2021-03-03 09:38:14.66
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