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科目 日本古典文学基礎演習4 
開講科目群 日本語日本文学科 
履修 選択 
年次 2~4 
単位
開講科目ID 10222900 
開講期・曜日・時限 通年 水曜日 4時限
教職課程との対応 教職課程(教科に関する科目) 
教員氏名

佐伯 孝弘(サエキ タカヒロ)

備考  



授業テーマ
Course
Theme
近世怪異小説の研究
――日本の幽霊・妖怪の歴史的変遷を踏まえて―― 
授業概要
Course
Outline
 近世を通じて流行を見たのが、咄の会である。これは人々が集い笑話や怪談を夜通し語り合う慰みで、前者は噺本(はなしぼん)という小説や落語へ、後者は怪異小説へと結実した。特に怪異小説は近世を通じて多くの作が出て人々に享受され、演劇や絵画など他の芸術ジャンルに大きな影響を与えた。近世はまさに、怪異流行の時代と言って良い。
 本年度は、元禄八年(1695)刊行で怪談のみならず奇談も多く含む諸国話形式の怪談集『玉櫛笥(たまくしげ)』(林義端作)を読む。個々の短編に語注を加えつつ精読。加えて、蛇・狐・狸・猫又等の動物の怪異の他、轆轤(ろくろ)首・天狗・大入道等の妖怪、幽霊、仙郷、離魂病、夢中の契りといった怪異の各素材や話型に注目し、類話を時代を超えて集めて検討。近世怪異譚の類型と個別性を探ると共に、怪異を通じて語られるものは何かを考察したい。
 前期は大凡講義形式で、日本の幽霊・妖怪についての通史的概説や、語注の付け方、類話の探し方等につきガイダンスを行う。その後、テキストを冒頭章から順に精読し、類話研究(学生による発表形式)。一人一話ずつ担当。夏休みに、希望者で幽霊画見学を兼ねた歴史文学散歩を実施する予定。 
授業を全て英語で行う科目
This class will
practice all in English.
× 
到達目標
Aim/goal
古典の本文を、自力できちんと語注を施しつつ読解する力を身に付けることが第一の目標。加えて、話型学の研究手法を習得すること、及び民俗学・神話学・文化人類学といった国文学の隣接学問における怪異研究の知見に触れることを目指す。 
授業計画
Course Plan
第1回 オリエンテーション(講義) 
第2回 怪異譚の面白さと研究方法(講義) 
第3回 怪異譚の面白さと研究方法・続き(講義) 
第4回 怪異譚の面白さと研究方法・続き(講義) 
第5回 説話とは何か(講義) 
第6回 伝説と昔話と世間話、及び参考文献の紹介(講義) 
第7回 参考文献の紹介・つづき(講義) 
第8回 日本の怪異研究史(講義) 
第9回 幽霊と妖怪の違い(講義) 
第10回 他界と異界(講義) 
第11回 宗教と他界観(講義) 
第12回 日本人の幽霊観の変遷――幽霊はいつ頃なぜ怖い存在となったか――(講義) 
第13回 近世に怪異物が流行した理由(講義) 
第14回 近世怪異小説の3系統、及び幽霊に女が多いのはなぜか(講義) 
第15回 幽霊画の見方、及び前期のまとめ(講義) 
第16回 以後はテキストを使い学生の発表、『玉櫛笥』巻1の1「養老の滝」 
第17回 『玉櫛笥』巻1の1「養老の滝」続き 
第18回 『玉櫛笥』巻1の2「経を読む猿の記」 
第19回 『玉櫛笥』巻1の2「経を読む猿の記」続き 
第20回 『玉櫛笥』巻1の3「闇夜の牛鬼の事」 
第21回 『玉櫛笥』巻1の3「女闇夜の牛鬼の事」続き 
第22回 『玉櫛笥』巻1の4「信州在郷大地に沈み大鱸人を呑む事」 
第23回 『玉櫛笥』巻1の4「信州在郷大地に沈み大鱸人を呑む事」続き 
第24回 『玉櫛笥』巻2の1「赤井強左衛門土佐坊が幽霊に逢ふ事」 
第25回 『玉櫛笥』巻2の1「赤井強左衛門土佐坊が幽霊に逢ふ事」続き 
第26回 『玉櫛笥』巻2の2「瞽者三世を知る事」 
第27回 『玉櫛笥』巻2の2「瞽者三世を知る事」続き 
第28回 『玉櫛笥』巻2の3「親子の奇遇」 
第29回 『玉櫛笥』巻2の3「親子の奇遇」続き 
第30回 まとめ 
学習活動
【授業前】
What Students
are expected
to do
before class
 発表担当者は担当話に精細に語注を付け通釈した上で、話型の似る話(類話)をできるだけ多く集め、各自の視点から考察を加え、発表用レジュメを作成。必ず発表予定の前日までに、作成したレジュメを1セット佐伯へ提出すること。
 発表者以外の履修者は、当該話を授業前に読んでから授業に出席。 
学習活動
【授業中】
What Students
are expected
to do
in class
自発的に質疑応答で発言し、積極的に授業に参加。 
学習活動
【授業後】
What Students
are expected
to do
after class
授業時に種々の参考文献を紹介するので、出来れば図書館で自身当たってみて欲しい。口頭発表時に不足した箇所については、年度末にレポートとして提出。 
評価方法
Evaluation
 年一回の口頭発表により行い、平常点を加味する。口頭発表の順番が回って来なかった場合は、担当話についてのレジュメを年度末にレポートの形にして提出し、口頭発表に代わるものとする。 
履修前提要件
Prerequisites
使用テキスト
Textbook
to be used,
if any
参考書
Reference
Book,
if any
番号 著者
Author
書名
Title
出版社
Publisher
ISBN 定価
Price
備考
Remarks
1. 太刀川清  『近世怪異小説研究』  笠間書院  ASIN: B000J8BMQO     
2. 高田衛・有働裕・佐伯孝弘編  『西鶴と浮世草子研究Vol.2〈特集・怪異〉』  笠間書院  ISBN-10: 4305602024  2,625   
3. 小松和彦監修  『日本怪異妖怪大事典』  東京堂出版  ISBN978-4-490-10837-8  18,000+税   
4. 稲田浩二篇  『〈日本昔話通観・研究篇2〉日本昔話と古典』  同朋社  978-4810424904     
テキストに
関する
連絡事項
Remarks
concerning
the text book,
if any
テキストと参考文献リストを、授業時にプリントで配布。 
更新日付 2017-01-11 06:36:28.842


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